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高エネルギー加速器研究機構(茨城県)や京都大、東京大など11カ国の国際研究チームは19日、素粒子のニュートリノが「ミュー型」から「電子型」に変化する現象を世界で初めて発見したと発表した。

この変化は「ニュートリノ振動」と呼ばれ、観測が難しく未確認だった最後の1通りの変化を実験で確認した。宇宙の誕生で決定的な役割を果たしたとされる物理現象「CP対称性の破れ」を解明する鍵となる成果だという。

 ストックホルムで開催中の欧州物理学会で同日、発表された。


 ニュートリノは電子型、ミュー型、タウ型の3種類があり、互いに別の型に変化し続けている。ミュー型から電子型への変化は、実験で確認可能な変化のパターン4通りの中で唯一未確認で、2011年に国際チームが発見の兆候をとらえ、12年に中国などのチームも間接的な方法で確認したと発表するなど、研究が続いてきた。

 国際チームは、大強度陽子加速器施設「J-PARC」(同県東海村、5月の放射能漏れ事故で停止中)で大量のミュー型を作り、約295キロ離れた東大の観測装置「スーパーカミオカンデ」(岐阜県飛騨市)へ向けて発射。旧神岡鉱山の地下水槽(直径、高さ各40メートル)で、ニュートリノが水中を通ることで出るかすかな光(チェレンコフ光)を検出し、到着までに電子型に変化した割合を調べた。


 実験は東日本大震災による施設被災で一時中断したが、10年1月から今年4月の間に神岡で532個のニュートリノを検出し、うち28個が電子型と分かった。日本列島の地下を横断するうちに電子型に変化したものを99・9999%以上の確率で他起源のものと見分けることができ、学問的に「発見」と認定した。


 同機構の小林隆教授は「最後まで未解明だったニュートリノ振動が明らかになり『CP対称性の破れ』探索の可能性が開けた。さらに10倍ほど実験データを蓄積し、精度を高めたい」と話している。




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