子供から大人まで人気の回転寿司。100円均一のチェーンも増え、今や家計が苦しい庶民の味方としてすっかり定着している。

 しかし気になるのは、そんなに安くてどうやって儲けを生み出しているのかというカラクリ。回転寿司業界のコンサルを手がける、S氏に聞いた。

「回転寿司チェーンでは、原価が高い本物の代わりに、安い“代用魚”を使って利益を上げる会社が珍しくありませんでした。例えば、マグロの代わりにアカマンボウを利用する。原価がぐっと下がるわりに見た目も味もよく似ているので、安い回転寿司の味になれた客ではまず気がつきません(笑)」


 代用魚はまさしく法の抜け穴といえる手法。食品表示について定めた「JAS法」や「食品衛生法」では、パック販売するスーパーなどでの偽装表示は禁じられてはいるものの、その場で調理する飲食店では何の決まりもなかったのだ。

「しかし近年、こうしたカラクリが報道されるようになり、各自治体で代用魚を規制しようとする動きも出てきた。そこで現在の主流となっているのが、“死魚”です」

 死魚とは、釣りあげる前に死んでいた魚のこと。海底に沈んでいる「底魚」と、海面に腹部を出して浮かんでいる「浮魚」の2種類があり、卸市場といった通常の流通ルートではなく、特別な水産加工業者から仕入れるそうだ。

「死魚は本来なら捨てるしかないため、むしろ代用魚よりも安い。ネタによってバラつきはありますが、ネタの仕入れ価格は、通常のまともな魚に比べると驚きの5~10%です。見た目は、水産加工業者によって切り身にされていますし、ほとんどわからない。見た目は同じネタでも原価率が1.5~2倍にもなる“高利益”商品の出来上がりです」

 こうした死魚は、特定の種類に限るわけではなく、奇形になってしまった養殖魚や死んだ状態で水揚げされたマグロなど多岐にわたる。

 そのため、消費者が避けようと思っても一概に「このネタが怪しい」とも言えないのが難しいところなのである。“偽装”ではないとは言え、消費者目線で言えばあまり気分のいい話ではないが……。

「死んでいるとはいえ、腐っているわけではない。当然、本物ですから、味も悪くない。むしろ、品質を落とさず良いネタを提供しているのだから、企業努力だと評価してほしいくらいですね」

 何であろうと、安いものには必ず裏があるということか。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130814-00487471-sspa-soci